書評  これが潜水艦だ:
海上自衛隊の最強兵器の本質と現実
中村秀樹著 光人社NF文庫

これが潜水艦だ:中村秀樹著 光人社NF文庫の表紙

これが潜水艦だ 中村秀樹著 光人社NF文庫 
ISBN 978-4-7698-2571-5

結論から言うと、見つからない潜水艦には勝てません。飛行機や空母や水上艦艇にも歩があると思いたい人もいるそうですが、あんまりないです。この本を読んで、第七艦隊の水上艦と空母の中の人の議論を思い出しました。似たような結論でした。今はどうなんでしょうね。何か革新的な潜水艦探知が出来るようになったという話は聞きません。もちろん一般人に知らせるとは思えないですけども。ロシアも落ち目ですし、そんなもの開発する必要ないですしね。そのへんが納得いかねぇ!という軍オタの人もいるそうですが、いつか軍オタになりたい自分が言うのもおこがましいですが、とりあえず中村艦長の言葉を信じても間違いはないと思われます。

中村さんは惜しげなくファンの方が知りたいであろう情報を満載して(極秘スペックを除いて)この本を上梓してくださいました。しかも文庫になってます。これを買わずしてどうする!
(いや4年も買わずにいたのは私ですが。だって知らなかったんだもん。日本にいなかったんだもん。光人社さんの棚がどこにあるかわかんなかったんだもん)

さて、エラそうに書評と言っても感想文以下、連想ゲームに近いのでその旨ご了承ください。だ、だって書評って言わないと表紙の写真使えないんだもん。見逃してもらう為のダメ押しで表紙画像からアマゾンに飛ぶリンクを勝手につけてありますが、うちには一銭も入りませんので安心して見に行って下さい。あと、タイトルは潜水艦ですが後半完全にパイロットの話に偏向しております。この本を読んで思い出したエピソードということでお許しください。

「これが潜水艦だ」には戦技の実際や潜水艦の存在意義はもちろん、理想とはいえない運用上の現実に対する提言などもあります。僭越ながら共感する部分が多々ありました。自分がここで書き散らかしているのとちょっとだけ似たような事をときたまおっしゃっておられるのが嬉しかったわけです。何しろ本物の海上自衛隊の潜水艦艦長が言うんですから信用性は段違いです。

ところで中村秀樹氏も本書の前書きとあとがきで再三訴えておられますが、潜水艦についての誤解は多いようです。まず今まで情報が少なかったこと。沈黙の艦隊やレッド・オクトーバーを追え!などが大人気だったにも関わらず、です。情報が少ない分野では先に言ったものの勝ち。まことしやかなウソや、トンデモ都市伝説がどっかから湧いて出ます。

こういうのを博物館業界では "STORY CREEP" や "FAKElore" というそうです。いつの間にか忍び寄るほら話、とでも言うのでしょうか。たとえば博物館につきものの案内ツアー。ガイドも最初はマニュアル通りの説明をするのですが、ちょっとでも客に受けるとそこからどんどん話を大きくしていって収拾がつかなくなるのだそうです。たとえそれがボランティアのG3だとしても、博物館の代表意見=事実だと見学者は思ってしまいます。抜き打ちのおとり捜査や再教育はするものの、あまり効果はないらしいです。

この状況はどんな分野にも起こりうるし、実際これに手を焼いている関係者はどこにでもいます。従来の出版物も間違いは多い(エコノミストなど噴飯ものだ)のですが、一応校正はするし編集もされます。今ではネットで調べものをする人が多いですが、ネット情報はまったく監修されていません。それを鵜呑みにして本を書き(!)あげく別の誰かがその内容を孫引きして自著に載せ、それがまたネットで広まってWIKIに載り「常識」となってしまう例が後を絶ちません。

それでも科学的な分野や、裾野の広い業界では間違いを指摘される危険性があるのでめったな事は言えませんが、守秘義務のある分野や一般人と乖離した世界(外国や軍隊など)の出来事なら誰が何を言っても野放し状態。大変遺憾な事態であります。
日々誤解と戦っている私が言うのですから間違いありません。え、仕事の話ですってば。

日本では軍事や自衛隊について普通の家庭の夕食の席で語られる事はあまりないのでしょうが、実は政治も軍事もみんなの生活の行方を左右する重要なトピック。日頃考えもせず、あるいは批判だけしておいて気がついたら独裁政権や共産主義になってたり、経済無策で貧困に喘いでいてもそれは自分のせい。手遅れになる前に、有権者だけでなく若いうちから国民全員しっかり考える習慣をつけなければなりません。
正しい判断をするためには正しい情報が必要です。本書はその情報を経験者の立場からわかりやすく適切に紹介してくれます。中村秀樹氏は本書以外にもその知識と経験を駆使した著作物が多々あり、これを機に多くの人が本当の潜水艦と海上自衛隊について知ることとなるでしょう。まずは自分がですが。

あんまり褒めると回し者かと思われるかもしれないので、「これが潜水艦だ」の購入動機を。

そもそも潜水艦好きな割に縁がなかった。耳だけは嫌われるほど良かったのでソナーマンにでもなれれば幸せだったのかもしれない。なのに気がついたら興味のないアメリカに住んでいた。せっかく日本で江戸ブームが巻き起こってたというのにである。江戸が三度の飯より好きなのにである。

で、たまに文明の香り高き日本に帰ってくると本を買いまくる。信じられないほど卓越した文化(接客と日本では言う。暗算でのおつり即座出しを含む)を堪能する。新幹線で暮らしているといってもいいほど長い間座っているので本がいる。ノートPCやタブレットは重いし携帯は充電面倒だしWiFi使える環境が日本はまだ少ないのだ。もしかしてアメリカにもいいところあるのか?

そんなある日駅の本屋で潜水艦が表紙の文庫本が目に留まったので買った。呉に行くんだしちょうどいいからてつのくじら館に行く前に予習しようという軽い気持ちである。もちろんそんな所に行くのは上司には内緒だ。普通なら領収書でバレるだろうが経理は私だ。読みはじめた。…本文最初の2ページくらいで予習はやめにした。ずーっとこの調子なのか?堅過ぎる。昔は科学論文や堅い本が大好きだったが、外国暮らしを続けるうち、考えず集中せず読めるものが好きになって来た。日本にいるときくらいリラックスしたい。奥田英朗にしよう。(奥田さんごめんなさい。褒めてます)

そしてまた文明国を離れ、持って来た本も読み尽くした。あーあの堅い潜水艦本が残ってるか…。活字中毒であるから発作が起きると薬の説明書でも荷物を包んであった新聞紙でもシワを伸ばして読む。潜水艦であることだし風呂に持ち込んで読んだ。…あれ?堅くない。どころか、この著者、ぶっちゃけおちゃらけてね?好きだなあこういう人。注釈が本文より長くなるところといい、憎めないタイプだ。(中村さんごめんなさい。褒めてます)

では中村秀樹氏の「これが潜水艦だ」を読んで一体何を懐かしく思い出したのか。
大昔、ベルリンの壁が壊されるかどうかという時代。その頃海辺のリゾートと都内23区人には想像されている町に都落ち。天気が悪かったりすれば渋谷まで6時間かかった記録があるほどのひでえ混雑をものともせず皆さん車の助手席に彼女を乗せてやって参ります。あるいは若い家族連れが。
海際の道路は脇道がほとんどございません。当時カーナビなどありませんからみんな我慢して知ってる道から逸れません。その渋滞を眺めながら道に面した前庭の門を開け放しBBQ。ビール飲みながら縁側でまったり相撲中継をみているわけです。もちろんわざとです。

そしてレゲエなんぞ渋滞に聞こえるように鳴らしながら女の子に招集をかけます。トップガン*が来てるよって。ウソじゃありませんが半数はナビゲーターですし、A-6やP3Cでもパイロットはパイロットなので女の子にはわかりません。しかしF−4やF−14やF/A-18パイロットやイーグルドライバーといえど、自分で言っても女の子に信じてもらえないので、第三者の日本人(私だ)などがこっそり女の子にささやくように手配します。女の子の彼等を見る目が♡になります。(※)

ま、パイロット連中は基本スッチーにしか興味ないのでカップルになりそうな組み合わせは最初から決まってますが、場がむさ苦しいのでたくさん女の子呼びます。日本人は手みやげ持参で来るし、カモネギです。なにはともあれ日本人が自分だけという事態は避けたい。ガイジンは散らかすだけで絶対手伝わねーし。大量の肉とケグ持参でなければ門を潜らせもしないのだが。物量作戦には弱いんだよなあ、日本人。

士官は基地の外に家を借りる場合結構なお手当がつくので、かなりいい家を借りることが出来ます。貸したい人は限られますが。主にボロくなった昔の豪邸、今は広いだけが取り柄の和風の家がガイジン用となります。日本人に貸すと畳取り替えろとか網戸が破けてるとかガラスが割れてるとか文句ばかり言いますからね。

で、パイロットやNFOというのは大抵空母とかに仮住まってて、かと思うと厚木にいたりペンサコーラに呼ばれたり、演習となれば数ヶ月帰って来ないし、しかも異動が多い。でもお家の引っ越しなんぞめんどくさい。で、何人かでデカい家をシェアします。そうすると、誰かが家にいる可能性があるから便利なわけです。荷物はどこそこに送れとか。
要領がよければ隣の親切な大家さんをたらし込んでこき使います。日本で発売してないものを融通したりするとかなり幅が利きます。でも噂を聞きつけた近所の奥さんが欲を出して高級マットレスをお願いしたのはいいけど、日本の家のドアも廊下も通らないサイズだったことも。ご利用は計画的に。

みんな基地の中の独身士官用ホテルっつーかアパート住まいが嫌なところをみると、そこはよっぽどつまんない生活環境なんでしょうねきっと。まあBOQも社宅並みに気を使う環境なのかもしれん。連れ込んだ女の品評会が始まるとか。

とにかくそーゆー男の園、メンズクラブが点在する町だったわけです。アメリカ人はたいてい日本語が出来ないので世間とは没交渉であるにしろ。たまに近所の人が夜の騒音を警察に通報したりしますが、警官もストリップを始めたケンシロウ似の酔っぱらいを英語でたしなめるのは苦手らしく、毎晩おんなじことが繰り返されたりします。

何しろ金は余ってますケンシロウ。イラクを空爆したついでに買い集めたペルシャ絨毯の上に鎮座したタテもヨコも本人よりデカいスピーカーとアンプが座敷を占領してたりするわけです。もちろんサッシは開け放し。さすがにそれでは近所の方が可哀相です。うちも尻馬に乗って翌日通報。本人に問い質したところ「つい警官をからかおうと脱いだ。後悔はしていない」とのこと。お前達のような人種は・・・。

しかしもっと恐ろしいのは連中がかなりのアホをも含んでいたことだ。よく軍用機を電線やケーブルに引っ掛けて大惨事、なんてニュースを見るがさもありなん。あんなアホどもが自国の上を飛んでるのはちょっとかなりヤだったです。

何しろ、某逗子駅から葉山まで一本道(海からでも山からでも)なのにも関わらず、路線バスたった1系を除いて全部葉山バス停を通るにもかかわらず、ローマ字表記があるにも関わらず、一度もこれた試しのない奴とか(降りずにバスに乗ったまま去ってゆく姿を見たことはある)。
靴ひも自分で結べない奴(実在)とか翌日勤務なのにも関わらず仙台までたった一度会っただけの女(しかも無視された)に再会すべく車で出かけ夜明け前にヘベレケで帰って来て飛行機乗りやがったナビ(ちなみに女には再度無視されたそうな)とか富士山へはどうやって行くのか逗子駅前のコンビニで夜7時に聞いた奴とか結婚式の一週間前に浮気して病気貰ったのが判明してどーすんだな奴とか、もう枚挙にいとまがない無軌道ぶり。

ちなみに米軍の現職は日本の車検もなく税も払わず高速料金も必要ないので、とんでもないボロ車で平気で遠出したりもする。今までに見た中で一番ひどかったのは助手席側以外ドアが開かない4ドアセダン。運転手側の窓は開くので(完全には閉まらないが)そこから潜り込む。後部シートは背中からスプリングが飛び出していてもたれる事など出来ない。助手席の方は絶対にロックしないよう厳命されていたが、たまに日本人が気を利かせると開かなくなる。それでも修理しないのが笑える。明らかに極限を追求中。賭けが絡んでるに違いない。

たまに真面目だとデイトレーディングにハマって儲けの自慢。だけどアメリカの市場は10-14時間時差があるだろ?いつ寝てんの?大丈夫か仕事。(当時はオンライントレードじゃなくてメリルリンチに電話の時代)パイロットのイメージが大きく変わったね、あの町に住んで。こいつだけは頭いいと思ってた米海軍のパイロットに近所の7/11でばったり会って聞かれるわけですよ、弁当の具の正体は何かとか。コンビニ弁当物色しながら「日本食ってカロリーゼロなんだよな!」とか本気で言われても・・・。それカツ丼だし・・・。

なので、中村氏の洞察というか観察力が素敵で思わず心の中で快哉を叫ぶわけです。”アメリカ海軍で成績いいのはまず潜水艦乗り、ついでトップガンになる。でも艦上戦闘機以外の乗員は結構バカだから潜水艦なんか見つけられるわけない”(意訳の上抄訳)というのには笑った。能力も脳力も「お粗末な」EP-3乗ってたお前、あんたのことだよ!日本人にくどくどと芸者の説明すんな馬鹿野郎。お前はパイロットですらないんだからひたすら黙ってろ。
アレに比べればフツーのパイロットは頭いいかもしれん。レジー(本名)は靴紐は結べなくともバスを乗りこなせなくとも相撲中継2−3回見ただけで、初めて見る漢字、しかも根岸流相撲番付のしこ名がいくつか読めるようになったからなあ。何か記憶回路が別なんだろうな。パイロットとしての能力はちゃんとしっかりあるんだろう。ぜひそう思いたい。だって自分ちの上飛んでるんだもんアイツ。

でも民間機のパイロットもおっつかっつ。「私機長のXXです。皆様、ただ今右手前方にエベレスト山が見えま‥ブチッ」って放送が途切れたまま着陸まで音沙汰なかったこともあったなあ。もちろんアラスカ上空飛んでたんだが。客が誰もざわめいてなかったのも怖かったけど。。。
エジプト航空の機長なんて元軍人で腕は確かという触れ込みだが、みんなほとんどの時間キャビンで客をナンパしてたしな。もうそろそろ着陸なんじゃないの?なんて客が聞いても動じないで口説き続ける男らしさ。しかもコパイまでCAときゃっきゃうふふしてやんの。うちの親なんか心配でちゃんと誰かコクピットにいるか見に行っちゃったよ。そういや与圧調整できるのが客室だけなんでヤギもニワトリもエコノミー席乗って来てたし半分の座席には救命胴衣がなかったよなあ。お下がりの機体だからなあ。(新品の日本のB787も窓に段ボール紙**張ってあったけど)

ああ、いい時代でしたね〜。荷物が積み込まれてれば、客が来るまでドア開けたままにしといてくれたし(客なしで出発してそいつの荷物が爆発したら困るもんね)カウンターのお姉ちゃんも「もー時間ないわっ。手続きはいいですからx番ゲートまで全力で走って下さい!」なんて普通だったしなー。オサマのバカ!

パイロットは出世して艦長や司令になる率が多い、と「これが潜水艦だ」には書いてある。確かに。が、元々一匹狼的なタイプで団体行動といっても編隊単位、せいぜい自分の飛行隊の中で仲良しは出来るものの、船乗りは自分らの召使いだと思っていて、自分が世話になってる水上艦のことも組織も運用も何も知らないし知る気もない。知らないが艦長になったとたん采配を振るおうとするので船乗りはイライラする。実際がまったくわかってないからだ。これについて中村氏の言及はないのだった。いいなー潜水艦艦長は。部外者の上官が来る事はあまりないんだろうな。とはいえ相手のことを考えずにいい加減な事をし迷惑をかけてるのにちーとも気がついてない航空関係の連中の話はこの本にも出てくる。パイロット上がりの空母艦長などはこの極みであろう。

普通の海軍の出世コースはわかりやすい。小さい船から大きい船(駆逐艦か巡洋艦)の艦長を経て海将になるわけです。パイロットの場合、せいぜい飛行団のコマンダーになるくらいであとが続かない。でも海将=「アドミラル」になるためにはどっか大きな組織の長、出来ればお船の、が求められる。そこで輸送船あたりでちょこっとフネ経験を積ませてお茶を濁したあと、飛行機乗ってたんだから飛行機には詳しいに違いないといきなり空母の艦長の位が与えられる。船乗りに取っては大迷惑。だから空母勤務は人気がない。後述。

さすがにたまには冷静かつ知的な海軍士官もいます。大抵義務が終わるなり軍を抜けますが。で、そーゆーの同士が出会うとすぐ相手のレベルをチェックすべく議論が始まるわけです。ディベート。討論とか定義好きだよねアメリカ人。議論は冷静じゃない奴相手だといつまでも平行線を辿るただの言い争いになってしまい面白くありません。たとえ相手の論旨に大賛成でもその場で認める男はいません。翌日あたかも自分の意見のように滔々と話してる可能性はあっても。

ともあれ、ある日駆逐艦ソナー担当と空母機関長と艦載機ファイターパイロットが議論してたわけです。まあ基本潜水艦があれば空母いらなくね?という意見にパイロットが必死で抗弁するわけです。飛行機の方が広い範囲をカバー出来るし速いし、空母があればさらに給油なしで遠出できるし、やっぱ飛行機最強!論で。

しかし次第に潜水艦サイドが押してきます。見つからずにどこにでも攻撃できるし、空母なんかあんなでかいマト潜水艦ですぐ撃沈できるし、俺の船の腐れソナーなんか何の役にも立たないし巡洋艦だって潜水艦より性能のいいソナーなんぞないし、ディーゼルなら安いし小さいし、原潜ときたら航続距離も長いし、怖いのは他の潜水艦だけっしょ、みたいな。
 最終的に飛行機で無損失は難しいだろうし維持費大変だしなんて言われて、困ったパイロットがすがりついたのが中村氏もお書きになっている「プレゼンス」のコンセプトだったわけです。なんだかんだ言って特に第三世界には目に見える脅威が必要なんだと。核兵器や潜水艦の脅威は見えないけど、でかい空母がお付きの艦隊従えて出ばってくれば、それだけでアメリカに歯向かおうとはしなくなるだろうと。制海だけでなく戦力投影も大事なのだということですね。当時は国籍不明のテロとかもなく、これでなんとか格好がついたわけです。まあ、ずいぶん高価い顔見せ代なんですけどね。今はもうほら、気に入らない相手がいたらデスブログに書いてもらえるよう仕向ければいいだけだから。

しかし、空母は生活環境悪いし(掃除が行き届かないだけじゃない)仕事も大変ちゅーかつまらないんで誰も赴任したがらないから、もし空母で3年我慢すれば次はどこでも好きな仕事に就かせてやる、って言って特に有能な水上艦士官を釣ります。銀の弾丸、シルバーブレットと呼ばれるこの権利を手に入れれば、もー南極調査でもペンタゴンのスパイでもヨーロッパ研修でも徒歩通勤のハワイ地連勧誘員でも何でも出来ます。しかしそこまでしなければ誰も働きたくない職場を示威のためだけに維持するのが本当にいいのかどうかはわかりません。アメリカの潜水艦勤務はいいですよぉ。給料高いし使う暇ないし年金で悠々自適だし。

大事なことを言い忘れていました。ここに出て来た恥ずかしいパイロットとNFOのうち一人として海軍兵学校出は居りませんので念のため。ケンシロウはキングスポイント(商船大)に行きましたが、アレは士官学校のレベルとしてはマイナーリーグ下位です。カツ丼や相撲文字や病気持ちはOCS(愛と青春の旅立ち)経由フライトスクール出です。この人達は普通の大学でモラルも何もあったもんじゃない楽しい生活を満喫して後、たった3ヶ月足らずで即席士官になったのですから清廉かつ高潔な精神を4年間叩き込まれた士官学校の卒業生と一緒くたにしてはいけません。

さて、「これが潜水艦だ:海上自衛隊の最強兵器の本質と現実」には他にも色々な興味深いエピソードが載っている。大体どこの国の潜水艦にも当てはまるだろう。しかし、「におい」に関して米国の原潜乗員は文句を言っていない。日本人が繊細なだけなのか?慣れなのか?有り余るエネルギーと酸素でお部屋の空気はいつもクリーン?まあ蒸気タービンよりディーゼルの方が臭いというのはわかるような気はする。

水上艦艇の士官も一度は(海軍兵学校3年時の夏の実艦実習で2週間ほど:戦略核原潜と攻撃潜の両方)潜水艦勤務させられるが、「え、特にクサくなかったけど」という意見だ。まあ近海での勤務で外気だけ吸ってたのかもしれんが、もしやあいつらは仲間の体臭を感知できないような都合の良い進化を遂げているのだろうか。しかしそれにしては向こうの制汗剤は超強力だし宣伝も派手にしている。謎である。宇宙ステーションと同程度なのかもなあ、原潜の臭いレベル。乗員開発者ともども問題ないと言ってるから。洗濯もシャワーも好きに出来るなら問題ないのかも。
ともあれ今はアメリカの潜水艦にも女性が乗り込み始めたのでさらに清らかになるか?香水ぶちまけたりしたら別の意味で地獄だが。


*  トム・クルーズの映画が公開されて一番喜んだのはたぶん独身米海軍パイロットである。何しろトップガンと一言いうだけで、グラマラスに拡大解釈された勤務内容を一般人に理解してもらえるようになったのだ。設定はかなり非現実的なので怒っている奴もいた(若くて美人の教官なんかいるわけねえだろ)が、恩恵はしっかり享受しとった。また3Dで販売するらしいがケリー・マクギリスの胸が巨乳に変貌する特典があるとも思えん・・・じゃなくて、ですから士官学校を舞台にこういう映画をヒットさせて入学希望者を激増させ、候補生達の質の向上を、と願うわけです。あの栄光よ再び。いつ栄光があったかって?そりゃ答える人の卒業年に決まってます。

**  鳴り物入りで就航したB787にほとんど初日に乗ったらTVニュースのクルーが来てインタビューされたけど乗る前じゃ意味なくないか?以来何度もお世話になっているが、いろいろな機能がつき過ぎて故障続発。
窓自体が着色して日光を遮るはずが、透明な状態でフリーズし眩しくて寝られないし、映画の画面も見えないので紙を張ったり、トイレのシートがちゃんと上まで上がらないので男性がおしっこを引っ掛けてしまい次の人が泣く羽目になるとか、美しいラインを追求した室内の酸素マスク収納エリアのプラスチックボードの曲線が微妙過ぎていっぺんはずれると二度とうまくハマらないとか。
4人で修理に来た皆さんも場所が狭いのでせっかく持参したミニ脚立も使えず、結局佐藤さんお一人で無理無理中身(読書灯とか酸素マスク)詰め込んでましたね。最初は満席の客の手前、パネルを片手で抑えつつヒモやら管やらを片手できちんと巻こうという努力が見られましたが、結局収納できればそれで良いとご決断なさったようでした。離陸直前にご苦労様です。
あまりにもハメ込むのがムズいので、ふとJ○Lにガムテという選択肢はないか…とつぶやいたら隣にいたCAのお姉さんが「いや、ありますよ〜。見えないところにあちこちとw」と返事したので笑うしかなかったり。認めちゃあかんやんwww


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